・因縁乗り越え、小田急と西武、箱根観光てこ入れで連携。

小田急電鉄グループと西武鉄道グループは10日、神奈川県・箱根の観光活性化で連携すると発表した。両グループはかつて箱根の観光開発を巡って対立し、「箱根山戦争」と呼ばれる激しい主導権争いを繰り広げたが、観光客数が低迷しているため、協力してテコ入れを図ることにした。

 新宿から運行する小田急箱根高速バスを来年4月上旬から延伸して、西武グループのコクドが運営するレジャー施設「箱根園」と結ぶ。その一部を小田急グループの「山のホテル」まで延長する。このほか小田急の周遊券の割引対象施設に箱根園などを加える。鉄道の乗車券の相互販売などの協力も検討中だ。

 両グループの争いは、小田急が戦時中、東京急行電鉄と合併していた時代にさかのぼり、戦後も西武の堤康次郎氏、小田急の安藤楢六氏が激しく対立した。東急系の箱根登山鉄道(現在は小田急系)と西武系の駿豆鉄道(現伊豆箱根鉄道)のバスが客の争奪戦を繰り広げた。朝日新聞に連載された獅子文六の小説「箱根山」のモデルにもなった。

 記者会見した小田急電鉄の利光国夫会長は「箱根山戦争はもう30年前に終わった」と強調。西武鉄道の堤義明会長は「小田急のロマンスカーの利用客が、伊豆箱根鉄道のバスに乗れるような提携ができれば箱根での売り上げは2割は増える」と提携効果を説明した。

 箱根の観光客数は91年度の年間2250万人がピークで、00年度は1900万人に落ち込んでいる。

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